ボクの普段「介護職が稼げる世界線を作ること」をMissionとして掲げ、Xでハロー介護職として活動しています。
介護の仕事が好きであるにもかかわらず、それだけで家族を養うには厳しい現実があります。
介護保険制度に左右される収益構造、生産性で給与が上がりにくい性質、そして世間の「低賃金」というイメージ。
この現状を打破したいという強い思いが、ボクの活動の原点です。
今回はボクのMission達成のために介護単発バイトアプリの「カイテク」にもヒントがあるのではないか?ということで体験してみました。
そこで今回の記事では、ボクがMissionにかける思いを踏まえた上でカイテクの体験談を紹介し、その上で「介護職が稼げる世界線を作る」を作る上でヒントになったものなどを書いていこうと思います。
ハロー介護職の介護職としての原体験と未来への構想
好きだからこそ、介護の世界を変えたいという思い
かつてボクは、介護施設で出世し役職手当を得ることで収入アップを目指していました。
施設長にまでなりましたが、実力不足から適応障害を発症し、一時的に社会から離脱することになりました。
何よりも、施設長の給料でも家族を十分に養えないという現実に直面しました。
休業を経て、介護職として復帰しながらネットでの副業にも色々チャレンジしてみましたが、どれも芳しい結果は出ませんでした。
その時、「介護の世界を離れて違う仕事を探すべきか…」という思いが頭をよぎりました。
しかし、ボクは介護の仕事が好きで、介護の世界にずっと身を置いていたいです。
介護が好きなのに介護から離れなければならないかもしれないことに理不尽を感じました。
この原体験から、「ならばいっそ稼げない介護職を救える世界を自分が作ってみてはどうだろう?」と考えるようになったわけです。
しかし、ボクには介護のスキル以外になにもありません。
例えばコンサルティングのような形で誰かに稼げる手段を教えることもできません。
ならば介護職が稼げる場所を作ることを考えてみようと発想が至りました。
介護職のスキルマーケット構想:目指すは「ココナラ×ジモティー×カイテク」
そこで現在構想しているのが「介護職のスキルマーケット」です。
ボクが目指すプラットフォームは、例えるなら「ココナラ×ジモティー×カイテク」のようなものをいケージしてもらえると幸いです。
介護職が自身のスキル、経験、労働力をオンライン・オフライン問わず売買できる場を提供しようというわけです。
介護職のスキルマーケットで売買できるスキルの例
介護特化型WEBライターとしてスキルを有している介護職は、介護職向けにライティングでのノウハウを販売できる。
レクリエーションをすることが得意な介護職は、依頼のある施設や福祉イベントへ趣きレクを提供する。
研修を実施できる介護職は、Zoomやオフラインでの研修を開催する。
単純に介護の労働力を提供したい介護職は、カイテクのようにスポットで施設で働く提案をする。
介護事業における人事採用に強みのある介護職は、そのお手伝いをする。
介護保険では賄えないニッチな介護サービスを求めている要介護者やその家族へ、自費介護サービスの提供をする。
これらはあくまで一例ですが、こういった多様な活用法を想定しています。
さらに、これらのスキル売買の場だけでなく「介護職が稼ぐためのリテラシーを高められる環境」も整備したいと考えています。
例えば、専用の掲示板であったり、専門の講師を招いたオンライン講習などの導入を考えています。
大枠で言えば、「介護に関する困りごとはこのプラットフォームに訪れれば何でも解決してもらえる。」「介護に関するスキルは何でも売れる」。
介護に関する困りごとが全てこのプラットフォームで解決することを目標としたい。
これがボクの提供したいサービスの提供価値です。
カイテク利用で見えた介護の現場のリアルと課題
カイテクは介護職員が自分の介護技術を使って収入を増やすことに現実的に実現しているため、現状は調査するべき…という必要性を感じました。
そのような経緯があり、先日、取材目的で初めてカイテクを利用してみました。
カイテクの利便性と現場でのギャップ
実感したカイテクアプリの利便性
アプリでの登録は全て完結して簡単だった。
仕事探しの面では、検索機能が地域別・日付別で探しやすかった。
お仕事の応募の手順は、感覚的にはホットペッパービューティーで美容室を予約するくらいお手軽であった。
いざ出勤した時の状況は以下の通りでした。
- 出勤時の打刻は職場に置かれたQRコードをカイテクアプリのカメラで読み取るだけ。
- 施設の準備したカイテク専用の名札を渡された。
- 出勤した施設は定員80名で従業員の数もそれなりに多かったため、ひと目でカイテクだと認知される名札は個人的に助かった。
- 施設の事務所職員さんが出勤時の対応をしてくれたが、印象は普通。特別明るくもないが、感じが悪いこともなし。
- 3階建ての建物で、QRコードの読み取りが終わったら2階へ行くよう指示を受けた。
2階に到着すると、そのフロアのリーダーさんらしき方より荷物の置き場所の案内を受けました。
リーダーさんからは名前の挨拶がなかったため最後まで名前がわかりませんでした…。残念。。。
早速入浴介助に入るよう促され、着替えを終えるとすぐに浴室へ案内された。他の職員(一人)がすでに入浴介助を始めていました。
ちなみに、カイテクの施設ページに明記されていた仕事情報には
- 「業務開始前の口頭説明(1日の流れ・利用者情報・備品の位置)の説明有り」
- 「業務フローやマニュアルの用意有り」
- 「利用者情報シートの用意有り」
とあったが、そういったものの提供は一切ありませんでした。
衝撃的だったカイテク現場の「リアル」
カイテク現場でのお風呂の情報はざっと以下のような感じ
- お風呂のスタイルは大浴場スタイルで同時に複数人の利用者さんが入浴できるタイプ
- シャワーキャリーのまま入浴できるリフトも設置されている仕様
- 職員も複数名(この日はボクを含めて2人で対応)で対応するスタイル
- タイミングにもよるが、だいたい常時5〜6人の利用者さんが浴室内・脱衣室内にいるようなイメージ
- 利用者さんの質はカイテクの情報によると平均介護度は2.2
- 実際は独歩で歩ける方が結構多く、一通りご自身で入浴動作のできる方も一定数いた
- そして車いす使用で脱衣・洗身・洗髪・入浴・更衣など一通り介助が必要な方も一定数いた
- 自立:車いすは体感で半々くらいの印象
- 1日終わってみてから気づいたが、1日で30人くらい入浴したと思う(自分含めて2人で30人対応)
そして、一緒に風呂介助を行うことになったのは、外国人の年配女性職員でした。(勝手に「フィリピンパブのママ」と名付けます)
これは見た目、喋り方、立ち居振る舞いからボクが勝手に受けた印象であって実際の国籍はわかりません。
日本語は半分くらい何を言っているか聞き取れませんでした。
とりあえずフィリピンパブのママから受けた印象は、「利用者さんのことはモノ扱い」「言葉遣いが乱暴」「介助が雑」「思いやりなし」「理不尽」といった感じでした。
具体的なエピソードはこんな感じ
- 「次の人待ってル!早く服脱いデ!」
- 「ゴミはここに捨てル!何回言ったらわかル?」
- 「◯◯様!触るなっテ!触るなっテ!何回言ったらわかル!?」
など、利用者さんに対する乱暴な言葉遣いが目立ちました。
何をしたらいいかわからずキョロキョロしていたら「この人は自立じゃないから脱がして!」と怒鳴られることもありました(ADLを聞いていないためボクが判断することは不可能)。
一人で歩き出した利用者さんのそばにいたらバランスを崩して転倒しかける場面もありました。
その方は実は歩行器を使用する方でしたが、ボクが他の介助をしている間に浴室に入ってきており、すでに歩行器は廊下に出されていたため、ボクには状況からADLを察する材料が何もありませんでした。
しかし、「このひとは一人で歩けないから危ないヨ!!」と怒られました。
入浴介助のスペードを上げるため、基本的に手引歩行のスピードが超早く、何度か利用者さんがバランスを崩しかける場面を見かけました。
そしてバランスを崩すと、こけそうになったことを利用者さんが怒られる始末。
車いすからシャワーキャリーに移る際の介助で、立位の際についでにズボン・パンツを脱がす手伝いをママが求めてきました。
ボクはシャワーキャリーに移ってから靴を脱がすスタイルだったのですが、(裸足で立つと危ないから)、ママからはシャワーキャリーから立つ前に靴を脱がすようすごい剣幕で怒られました。
彼女の中での手順を間違えるとめちゃめちゃ怒ります。
あとは、主に女性利用者さんの髪の毛をドライヤーで乾した後、くしが見当たらず手ぐしで整えていると怒られました。
どこからともなく出てきたクシで「髪の毛は分けル!」となぜか全利用者さんの髪の毛を7:3で分けることを強要されました。
利用者さんのオーダーは通りません。
センター分けも、6:4でもオールバックでも許されません。
絶対に7:3でした。
洗い方とシャワーが雑で、介助が激しすぎて何回かママからシャワーをかけられました。
利用者さんが「シャワーちょっと熱い」と言っても「熱くなイ!何言ってル?お風呂だから熱くなイ!」と謎理論で聞き入れず、なんなら温度確認もしてませんでした。
お風呂が終わった後の利用者さんをホールへ誘導するよう指示された際のエピソード。
元のお席に誘導し、その方の前の席の方を連れてくるように言われました。
言われた通り元の席に誘導し、目に座ってらっしゃっる利用者さんを誘導すると「その人じゃない!」と怒鳴られました。
確かに前の席の人を誘導したのですが、実は本来誘導するべき方は違う場所にウロウロしていて、違う人が前の席に座っていただけでした。
また違う人をホールへ戻す介助の際、「次は山田様(仮)連れてきて!」と言われたが、誰が山田様(仮)かわかるはずもなく、「山田様がどの方かわかりません。」と答えると「チっ」と舌打ちをされました。
とにかく高速で入浴を回すことに特化した動きをするため、基本的に疑問があっても聞けるような雰囲気ではありませんでした。
なので最低限の情報もないから状況を察して動くしかありませんでした。
すると上記の靴のことやドライヤー後の髪のセットのように、彼女の中での決まった動きができていないとメチャクチャ怒られます。
だからと言って突っ立っていると「何してル!?」と怒鳴られました。
彼女が少し離れると利用者さんは大体苦い顔をしてボクの顔を見つけてくるか、もしくは「恐いわよね〜」と言って共感をもとめてくることが多かったです。
覚えている中ではフィリピンパブのママのエピソードはこんな感じでした。
総じて理不尽かつ利用者さん対応が雑で乱暴。
これらをマジで一切の情報もなく現場に放り込まれて、何も教えてもらえず、現場の雰囲気と彼女の振る舞いを見て察して怒られてやるべきことを見出していくことを求められました。
思ったのは、普通に介護経験それなりにないと流れについていけないということ。
あと言われなくても察する能力(ボクにあったかどうかは不明ですが)。
そして理不尽に耐えるメンタル。
ボクの中でかなりきつかったのは、利用者さんが酷い扱いを受けていても何もできないことでした。
カイテクの双方評価システムが抱える課題
カイテクのシステムで、業務が終わった後は労働者、施設の双方で評価し合うというものがあります。
これは、自分に低評価をつけられると次の仕事を受ける際に支障が出るという側面があります。
つまりどんなに理不尽で、どんなに我慢できないことがあっても、心を殺して見て見ぬふりをするしかないということです。
目の前の利用者さんが酷い扱いをされていても、自分も同じ介助を行うことを強要されても我慢するしかありません。
とはいえ、不適切なケアを強要され事故を起こす可能性もあります。
それ以前に必要な情報もなくケアにあたり事故を起こす可能性は十分あります(現に歩行器の利用者さんはこかしかけました)。
それでも見られ方がまずければ低評価につながる可能性があります。
そのことも踏まえると、カイテク労働者は必要以上に低姿勢でいかざるを得なくなります。
当日は午前・午後の両方が風呂介助でしたが、フィリピンパブのママとお風呂現場にアジャストするのに午前いっぱいかかりました。
午後はフィリピンパブのママの傾向が掴めた部分もあって、割とすんなりいきました。
昼食対応は求められず休憩に入るよう言われました。
恐らく食事の対応は複雑な部分もあり、カイテク職員に指導するよりも休憩に入ってもらった方が都合が良かったと予想されます。
ちょっとした空き時間はコップ洗いや新聞折りなどの雑用を指示されました。
あとは、職員との雑談とかは一切ありませんでした。
フロアリーダーとフィリピンパブのママは普通に会話をしており、ママに何か問題を感じている雰囲気はありませんでした。
何ならフロアリーダーも割と利用者さんに向かって高圧的であったり、呼び捨てで呼んだりしていたので職場全体としてこういった雰囲気だったのかもしれません。
というか、仮にフィリピンパブのママに問題があると自覚していたとして、その上でカイテク職員をあてがっているとしたらヤバい、、、
フロアでのエピソードとして、40名収容できる大ホールの介護スタッフの詰め所から10メートルくらい離れた利用者さんに向かってフロアリーダーが「◯◯さーーん!今日はうんち出たーーー?」と全員に聞こえるボリュームで排泄確認をしていました。
さすがにボクも「ブフッ!」と声が漏れてしまいました。
利用者さんはかなりカイテク慣れしている様子で「大変ねー」「また次もくるの?」なんて話しかけてくれたので、これはホッコリしましたね。
あと少し悲しいことですが、利用者さんはスタッフの愚痴とかもボクにこぼされて、ちょっとしたストレスのはけ口を務めるような場面が何度かありました。
何もできないので、時間が許す限り傾聴に努めました…
総括すると、最低限の情報もなく、目に入る情報から察して、今自分が持っている経験と知識をフル活用して場を切り抜けなければならなかったため、介護歴の短い人にはかなり厳しい環境だと思いました。
故に今回の案件でいえば介護初心者には全く向いていません。
もちろん色んな案件があるので全てが今回の案件と同じとは言いませんが、今回の案件は事前の仕事情報から本当の雰囲気を読み取ることは不可能と言えます(理由は先述の通り)。
ただ、喜ばしいことではありませんが、自分の知らないところでこんなに酷いケアをする場所があると知ったら、今自分が働いている職場はなんて素晴らしいのだろうとも思いました。
普段は自分の施設での方針や、他のスタッフの立ち回りをみて不満を感じることも多いのですがが、そんなものは全て吹っ飛ぶくらいショッキングでした。
だから、本業の毒素にやられているお疲れ介護職には、本業デトックスという意味でカイテクを利用するのはアリかもしれないとも思いました。
しかし、介護業界全体として見た時に、致命的にまずいと思ったのはカイテク職員と施設の双方評価のシステムです。
先述した通り、カイテク職員側は評価が気になるため下手な言動はできません。
つまり不適切ケアが行われていても目をつぶるしかないのです。
(本当に虐待が見受けられた時は、後で行政へ通報することは可能ですが)
そこに疑問を感じ、自分を見失わない介護職は良いですが、正しい倫理観を持ち合わせていない介護職が今回のような職場を経験すると「これでいいのだ」と勘違いする可能性があります。
双方評価システムはそういった動きを助長する可能性を感じました。
退勤する際は、名前もわからないフロアリーダーの方から「また良かったら次も来てくださいね」と言われましたが、特にアイスブレイクすらもせずに関係構築もされていないのにまた来ようとは思いません。
逆に言うと、カイテクで定期的にヘルプに来てもらいたければ、お仕事を丁寧に振ることは大前提ですが、仕事の合間の雑談などで距離を縮めるムーブはかなり大事だと思いました。
というかせめて名前くらい名乗って欲しかった、、、。
退勤する時は出勤のときと同じくQRコードをカイテクアプリで読み取るだけでお手軽退勤。
ちなみに退勤する際の事務所で、初めてカイテクに掲載されていた管理者?と思しき人物にお会いしましたが、特に挨拶はできませんでした(目は合ったが他のスタッフと雑談に夢中でした)。
こちらから挨拶するべきでありますが、とてもそんな雰囲気ではなかったです。
最後にカイテクアプリで事業所の評価を入力して終わりです。
この評価は事業所側が自分の評価をする際の材料にはならないようにカイテク側で配慮されています。
だから不満点をメチャクチャに書き殴ってちょっとストレス発散しました。笑
カイテク利用で深まる構想:事業所側からの「スカウト」と「報酬交渉」の可能性
「介護職が稼げる世界線を作る」ことを目指すボクとしては、介護職が本業以外で稼ぐ手段の一つとしてカイテクは有効な手段であると思うと同時に、課題も多いと感じました。
特に不適切ケアを業界に助長させる可能性は無視できません。
このあたりはボクが作るプラットフォームでは改善していく必要を感じました。
カイテクで実際に働いてみて感じたことがあります。
現在カイテクは「労働者が働く事業を選ぶ」システムですが、反対に「事業所が働いて欲しい労働者を選べるシステム」もあってもいいと思いました。
これは、事業所側の立場で考えた結果なのですが、、、
カイテクは自施設の求めるレベルの介護職が来てくれる保証もなく、応募があれば受け入れるだけではリスキーである。
ならば、開示されている介護職の情報を元に「この人にオファーをかける」みたいな機能があると良いのに、と思いました。
具体的には、「経験」「資格」「スキル」「今まで他の案件での評価」などが客観的に、かつある程度定量的に示されていて、それを見て事業所側は「この人に働いて欲しい、来て欲しい」とオファーができるような形です。
なんならAIで事業所側にレコメンド(アマゾンの『あなたへのおすすめ』みたいなオススメ機能)があってもいいのでは?と。
そして、介護職側は報酬を自分で設定できたり、逆に事業所側から報酬の交渉ができる、みたいなシステムもあれば、より柔軟で双方にとってメリットのあるマッチングが実現できると考えました。
最初は取材目的でした。
そしてボクの事業は今すぐ開始できません。
そういった事情もあり、現在カイテクを利用している方やこれからカイテクを利用してみたい方へ向けて情報発信することも、「介護職が稼げる世界線を作る」活動の一助になると考えが変わりました。
なので今後は不定期にりますが、継続してカイテクを利用してリアルな体験談を発信していこうと思います。
介護職の皆さんは、副業やスキルアップについてどのようなお考えをお持ちだろうか?
介護の現場で感じる課題や、こんなサービスがあったらいいのに、といったご意見があればぜひ聞かせてほしい。
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今後もよろしくお願いします。